秘密の森の沼地にて

わたしの泡は秘密なんです

こんなに普通で死んでいることとなんもわかってないことに気がつくこと

Tくんの告別式。

早めに行ったら葬儀の手伝いで来ていた会社関連の人たちだけしかいかなった。
会社の方々勢ぞろい。
Tくん、みんながキミのために働いてくれているよ。
ありがたいね。
キミがいい人で頑張ったからだよ。
よかったね。
と心から思う。

私は本社の人間で直接関係していたわけではないので、ということで
さささ、と祭壇の方へ案内される。
心の準備できてない・・・・。
笑顔のTくんの写真。
手を合わせて心の中では名前だけしか呼べなかった。
戻ろうと思ったら
Sさんがさりげなく私を促すので、え、なになに?と思ったら
「お顔を見てあげて」と。
そうっと覗いたら
Tが眠っていた。
もう、普通に、何度も見た寝顔がそこにあった。
思わず呼びかけようとしてしまった。
それくらい、本当に眠っているようだった。
「死んでしまった」ということを実感したくて
顔をじっと見つめて、思い出せる彼の寝顔との違いを探したけれど
やっぱりどこもかしこも同じだった。


こんなに死んでないみたいなのに、なんで起きてこないんだよ。
なんで眠っているみたいなのに、死んじゃってるんだよ。

と思ったら涙が出てきて
後は、もうボロボロで、I部長が寄ってきて死因を教えてくれたり
関連会社の社長が挨拶してくれたり
同じフロアで働いていたこともある彼の部下のAさんが挨拶してくれても
もうなんか、泣きながら頭下げるしかなくて、
早々と葬儀場を後にして歩きながらぐずぐずしていたら
前から彼の同期のTNさんが歩いてきたから
またボベェってなって「どうしよう、なんかまだ信じられないよ」とか言ったら
TNさんが
うんうん、とうなづいて「じゃあ俺も行ってくるから」って寂しそうに笑った。


それでちょっと落ち着いて道をぼんやりと歩いてたら
ふと

 

「来てくれたんだ。ありがとね」

 

って言われた感じがした。
そりゃ来るよ、Tくん、なにやってんだよう
って言ったら

 

「悪かった、でもまあ仕方ない」

 

って言った。気がした。
斎場を出たときは、とてもご飯が食べられる感じじゃなかったけど
ようやくちょっとお腹がすいたのでH町でご飯を食べた。
一区切りついてスッキリした。

その後はなんか今やりとりしていることで面倒なことがあって
悶々としていたけれど、
結局、うん、結局は、
私ってやつはなんにも、なーーーーーんにも本当に本当に
ほっっっんと~~~~~~~~~に
なああああああああんにも
わかっていなかったんだよなぁ、としみじみつくづく思ってしまった。

 

なんもわからんのに、何しようとしちゃってたんだ、あたし。
馬鹿じゃないのかな。
だからいつも「わかったことにしない」って言い聞かせているのに
なんでわかったことになってたんだよ。
阿呆すぎる。

阿呆すぎてもうイヤになる。
馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!
語彙力なさすぎて阿呆とか馬鹿とかしか言えないのも情けない。
言葉では表せないくらい未熟者で愚か者。

 

あーあ、今度こそ絶対にもうわかったことになんかするもんか。
愚かすぎる。
何様なんだ、私。
呆れるわ。

 

はぁ、本当にどうしたらいいんだ。
気分が落ち込んでなんもしたくない。
家に帰りたくない。
実家に帰りたいけど、洗濯物がたまっているから帰らなきゃ。
ああ、いやだ。
どうすりゃいいのよ。